『長引きそう』
 駅事務室。拓弥はとある女性純子に「触ったでしょ」と言われ突き出されてしまったのだ。身に覚えのない拓弥は必死に弁明するが・・

 満員電車に乗ると、気を使うのがやっぱり痴漢扱いされたら嫌だなあということですよね。「俺は別にいいよ、間違われても」という人にはあまり会いません。電車の中で実行犯の男が、通勤の人々の壁に阻まれてその場から逃げられず、被害者の女性が肘を頬骨に何度もぶち込み、顔面が血塗れになっていくのも目撃したこともあります。もちろん、そういうことをやる奴がいるのが悪いんですけど、やっていないのにそう言われたら、もう反論、反撃する術が実はないんですよね、男には。(やっていないとして)女性の言いがかり、勘違いがそのまま証言になり、即、罪になる。そして、ここからが重要ですが「それっておかしいよね」なんていう話を熱心にすると逆に周囲から疑われてしまうんです「この人、やましいところがあるからなじゃいのか?」「なにを自己弁護してるんだろう?」と。これは本当です。男性にとってものすごく恐いことなのですが、あまり話題にはならないのはそのせいだと思っています。こういった題材を使い、二人芝居で片方が被告であり弁護士、片方が被害者であり検事という最少人数での裁判劇をやろうとしたものです。